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兄に言いように声をあげて笑ってしまった。
何かと厳しいのは愛情の裏返し、父親はとにかく櫻子を可愛がっていたこともあり、最初は留学にもあまりいい顔はしていなかったほどだ。
しかし、最終的には櫻子のやりたいようにさせてくれた。そんな父だから、櫻子の帰国の日は何が何でも家にいたかったはずだった。
「お義父さん、お気の毒に……。しかも昨日からなんでしょ?」
須王は笑いながら頷く。
「あぁ。母さんから聞いたけど、仕事で文句を言ったことのない父さんが初めて文句言ったらしいからな」
「そっかぁ。……じゃあメールしとこ」
「それがいい。酔わないように気をつけろよ」
「うん、パパッと打っちゃうから」
櫻子はバッグの中からスマホを取り出すと、手早くメーラーを立ち上げ文字を打ち始めた。
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