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目が覚めると、知らない場所にいた。明るい光。目の前には海だ。…夢?頭がぐわんぐわんする。
さっきまで新一と、自転車で帰っていたはずなのに。新一、と呼んだら、みこと、と、案外近くから返事がした。
起き上がると、新一はすぐ側にいた。他にも、知らない制服の人達が、砂浜にたくさん寝転がっている。起き上がっている人もいた。砂浜にはサイレン塔が突き刺さり、変な感じだ。とりあえず、無人島ではないのか?
"十二、十三、…十四人か。"
理数系の新一は、素早く数を数えていた。
見知らぬ孤島に置き去りにされた高校生たち。これ以上にシュールな設定の夢が、他にあるだろうか。
突然、アナウンスが響き渡る。
"みなさん、お目覚めでしょーカ?ワタクシのゲーム、"ゴキバキメモリアル"へよーこソ??みなさんには、今からワタクシノゲームの登場人物としテ、ゲームをプレイしてもらいまース!"
周囲がざわつく。
"いいですカー?一度シカ言わないので、よく聞いてクダサイ。
毎日、男女のカップルでキスをかわス"リア充証明"が行ワれ、カップルを組めなかった男女ハ、処刑されまぁ~ス!
最後の1組になるまで行われるゲーム。生き残る、"仲良しカップル"はだーれダ?"
周囲が、更にざわついた。
"あいつ、なんて言ったんだ?…とにかく、俺たちをここから出せ!俺は、鬼道院グループの息子だぞ!鬼道院グループを敵に回して、どうなるかわかってるんだろうな!"
高級そうな制服を着た男子が、ツカツカと歩み出し、抗議する。それを見た他の高校生たちも、一斉に抗議し出した。
"その通りだ!拙者は早く帰って稽古をしなくてはならない。戯けごとに付き合う暇はない!"
"ふざけんな!アタシたちを早く帰してよ!"
騒ぎ出す高校生たちが、道を開けた。あれって…
"甲子園野球期待のホープ、
長島良太郎…?"
新一が呟いた。なぜ、長島さんがこんなところにいるんだろう?
長島が口を開いた。
"なぜこんなところにいるのかわからないけれど、俺は、野球をしなきゃいけないんで、帰ります。"
サイレン塔から、声が響き渡る。
"嫌だなァ~、さっき言ったこト、聞こえてなかっタ?だから、この霊長類ハ…"
"帰らせてくれ!"
気迫のある長島の声に、みんな、シンと聞き入る。
"俺にはカップルなんて作ってる暇はない。日本中が待っていてくれてるんだ。期待に背くわけには……ぐはッ?"
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