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「あった……」
本当に湖があったことに呑気に感動していた。思ったよりも水は綺麗でこれなら飲めそうだ。
荷物をおいて湖を覗き込んだ。
「うわぁっ!」
水面には僕の顔に鼻の先を近づける馬の姿があった。
「びっびっくりした……」
「申し訳ない」
突然頭上から降ってきた声に僕は顔を上げた。声からして女性のようだ。馬の上にまたがった女性の背後に輝く太陽によって再びくらついた頭を押さえた。
「大丈夫か?」
そう言うと女性は僕に水を飲ませ、布らしきものを頭の上にかぶせてくれた。
「ここを歩くのなら、何かかぶらないと。立てるか?」
「はい……すみません」
「問題ない。日陰に行こう」
女性は僕を馬に乗せると、それを引いて岩場の影に連れていってくれた。
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