3.未来の糸

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それでも柊翔は嬉しそうに笑ってる。なんか、そういう余裕こいてるのって、ムカつく。 「うううっ!」 「あんまり可愛い顔すると、襲うぞ?」  そんなことできないくせに。  さすがに、柊翔の実家でそんなこと出来ないって、俺だってわかってる。欲求不満にさせてるヤツに言われたくない。無意識に自分が強請った顔になってるってわかってる。柊翔が困った顔をしたのは一瞬。   「……要」  ゆっくりと顔が近づいて、今度は本当にちゃんとしたキスをくれるはずが。 『柊翔~、要く~ん、ご飯~』  本当に、おばさん、狙ったように声をかけてくる。今度は俺の方が困った顔になって、「は~い」と返事を返して、すぐ。  チュッ 「仕返しですっ」  ドアを開けて廊下に出る。背後で柊翔がしゃがみ込んだようだったけど、俺はそんな柊翔を残して部屋を出たのだった。
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