1.春の嵐

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 一年の頃は俺と同じくらいの身長だったヤス。  あれからあまり身長が伸びなかったヤスは、今では、俺の方が少しばかり見下ろす感じになっている。  一方の佐合さん。恋すると綺麗になる、っていうのは本当だな、と思うくらいに、一年の頃に比べると、だいぶ大人びて綺麗になったと思う。  某海賊王の隣に並ぶ、ほんわか美人の組み合わせ。  二人のギャップがありすぎだけど、もう見慣れている俺には、いつものこと。 「いや。ファミレスでも寄ってく?」 「いいねぇ」 「そういえば、デザートの新作が出たってSNSで流れてたよ」 「マジか。それ、どんなの?」  佐合さんは携帯を取り出して、デザートの画像を探し始め、その隣を歩くヤスが覗き込む。  今日も、すっかりラブラブな二人に、俺の方があてられることになる。 「うお、でかくね?」 「でも、三人だったら食べられるでしょ。ね?要くん」 「ヤスが一人で食いきったりしてな」 「確かに。俺なら食えるかも」 「どっちだよ」  テンション高めの俺たち三人は、そろって、駅近くのファミレスへと歩き出した。
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