死神

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死神

 死神――。  死を司る神――。  ファンタジーでは、定番の死神――。  それが、僕の前に現れたらしい。  「死神って、あの死神?」  「いかにもで、ございます」  「何を言っているのかな?」  「ですから、私が死神なのでございます。突然、目の前に現れて、信じられないかもしれませんが、事実でございます」  どうやら、僕は頭のイカれた男に関わってしまった様だ。コミュ障ではないが、人との関わりを極力避けて来た僕には、この手の人間の対処法が解らない。  とりあえず、あまり刺激しないようにしよう。  「えーと、死神さんは――」  「これはこれは、失礼しました。私は久慈城(くじしろ)クリード・ステラスミスと申します」  「……はあ? 僕は――」  「有坂慧(ありさかけい)様ですよね」  「な、何で僕の名前を……」  「勿論、知っていますよ。私、死神ですから」  死神には、個人情報保護法は適応されないらしく、僕の名前を知っている様である。  まあ、これから死ぬ僕には、どうでもいい事なのだが……。  「それで、有坂様。自殺をお考えのご様子ですが、ちょっと待っていただけませんか? 五十年程……」  「五十年? 死神さん――」     
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