命のオーディション

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命のオーディション

 少し遡って、昨晩の話――。  僕は、死神の久慈さんに軟禁されていた。  理由は単純なもので、僕が自殺しないようにす る為である。  このビルには、テナントが入っていないフロアが多く、その部屋の一つに、僕は軟禁されている。  「有坂様には、些か強引な手段を取ってしまい、誠に申し訳ございません」  「そう思うなら、見逃してください」  「お気持ちは、重々承知してありますが、これも死神の仕事。世界のバランスを保つ為でございますので、ご理解ください。」  自殺を考えている僕には、世界がどうなろうと知った事ではないが、仮にも久慈さんは死神。あの手この手で、僕の邪魔をするに違いない。  何とかして邪魔されない為にも、少しでも久慈さんの情報が欲しい。  僕は、少し探りを入れる事にした。  「ところで、さっき言っていた命のオーディションーって何ですか?」  「ああ、命のオーディションでございますか……。何と説明すれば良いのか……」  「お願いします!」     
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