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ちょっとやり過ぎかしら。背中で地味子さんが泣いている気がした。
でも、これでいいのよね。だって私は美樹の本命だもん。地味子さんへの最高のお返しは、私が嫌われてあげることじゃないかしら……?
「ちょっと待ってください」
私は地味子さんに呼び止められると振り返った。
「私があなたの彼氏に告白をしたら何か問題がありますか?」
問題がありますか? 胸のなかでもう一度、復唱するが、彼女がなにを言っているのか理解ができなかった。
私は地味子さんを観察した。睨みを利かせているが、明らかに怯えて見える。バレンタインのチョコレート作ったぐらいでテンションを上げられても困ってしまうのに。まぁ格下の女の子に怯んでも仕方がないわ。
「だったら美樹に告白してみる?」
地味子さんの了承なんていらない。私はスマホをいじると美樹を呼び出した。
私は地味子さんと一緒に駅前のオープンカフェまでやってきた。美樹が店の前の歩道に立ち文庫本を読んでいた。
「呼び出してごめんなさい。この子が美樹に告白をしたいんだって」
美樹は文庫本をたたむと顔をあげた。地味子さんは困ったように、顔を赤らめると小さく声をだした。私は呪いの言葉を唱える。さぁ、玉砕しなさい。
「あ、あの、私と付き合ってください……」
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