木箱

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気がつくと。 俺は広い和室に布団を敷いて貰い、そこで眠っていた。 俺の隣には座布団を半分に折り曲げ、それを枕に眠っているUがいる。 俺はまだ動かしにくい体に力を入れ、ムクリと起き上がった。 熱はまだありそうだったが、少し気分がマシだ。 「んあ…A太、気がついたか?どうだ、体調は。」 Uが目を覚まし、俺に声をかけた。 「あー…なんかちょっと気分マシ」 「そっか。良かった。お前が気を失ってる間にWさんと、もう一人、ここの巫女さんがお祓いしたからかもな。」 「巫女さん?」 Uは伸びをしながら起き上がり、枕にしていた座布団の上に座りなおす。 「あぁ、体に神様を降ろしてお祓いしてくれる人がいる。 ここでは巫女と呼んでるよ。俺も一緒にしてもらった。ただ、100%うまくはいかなかったみたい。」 「え…」 「お前が起きたら、もう一度話をする事になってる。どうだ?話聞けそうか?」 「……うん。」 「んー、じゃあ呼んでくるわ」 Uは立ち上がると、障子を開けてどこかに行ってしまった。 広い和室に1人にされて、少々心細くなる。
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