木箱

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窓の外を見ると、太陽が落ち、暗くなり始めていた。 天井も高く、30畳くらいある部屋の真ん中でポツンと座っているのは何とも寂しい。 しかも、知らない所だから余計だ。 U、早く帰って来ないかな。なんて女みたいな事を思っていた。 そう思っている時に、パキと割り箸を折るような音が聞こえた。 部屋の中でだ。 俺は音がした方を振り返る。 何もない。 家鳴りか? すると、またパキ…と別の場所から聞こえて俺はそっちを急いで振り向く。 勿論、そっちの方も何もない… 「なんだよ…なんだよっ」 俺は布団の上で立て膝をする。 何の音だ。 そこから警戒しても、何も聞こえなくなった。 しばらくして、俺はホッとしながら布団の上で胡座をかく。 その時だ。 次はパンッと頭上で大きな音が鳴った。 体がビクッと震える。 俺は真上を見た。 そして、思わず息が止まった。 俺の部屋にいた、 あの女がいたんだ。 顔に包帯をぐるぐるに巻いた女が天井からぶら下がっていて、表情が分からなくても、俺を見ているのが分かった。
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