どこにでもいる

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俺の声でKさんが振り返る。 と、同時に「うっ、あっ!」と声を上げた。 彼にも女が見えてるんだと思う。 後ずさりしたKさんの靴が砂で滑り、大きくジャッと響いた。 女はテテテか、タタタか、分からない笑い声のような音を発しながら、バッタみたいな四つん這いでKさんの足元へ勢いよく移動し、頭を小刻みに左右に振っている。 「ああぁ…っ!」 常に冷静だったKさんが恐怖で震えているのが俺にも伝わってきた。 女を初めて見た時から今日まで怖さが無くなった事が無かったけれど、少しは薄らいでいた気がしていたのに でも、 間近で見る久々のそれは、初めて見た時以上に俺に恐怖を植え付け、そのせいで息すら出来ないようにする事を簡単にやりやがった。 胃が鷲掴みにされたみたいに、痛くて気持ち悪い。 力が入らない震える腕で、お婆ちゃんを何とか地面に寝かせると、あの女と同じように四つん這いになって俺はその場に吐いた。 Kさんの叫び声が聞こえるけれど、その声も遠く、視界も暗い。 あの女の出す音が頭の周りで響いていて、 それを聞きながら俺は気を失った。 次に目を覚ました時。 俺は病院のベッドに横になっていた。
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