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耳の傷の処置をしてから、俺たちは再び神社へと向かった。
「あら?さっきと神社の雰囲気が違うわね…何かあったのかしら」
Wさんがそう言ったから俺も気づいたんだけど、さっき神社にいた時と何か違う。
どう言えばいいんだろう。
…風が冷たくて、でも何だか心地良い。
そこにいれば、安心出来るようなそんな感じ。
伝わらないかも知れないけど。
階段を上り、境内に近づくにつれて、その凛としたような空気が強くなる。
素人にも何となくわかる感じだ。
みんなに伝わるような言い方をするとすれば、パワースポットに来た、多分そんな感じかも知れない。
「A太くん!」
自分を呼ばれて、階段の上を見上げると会長と、その隣に宮司さんだと思われる男性が立っている。
Wさんと、Uも頭を下げて更に階段を上った。
勿論俺も。
お互いに挨拶すると、俺は会長にKさんの具合を聞いた。
「Kさんの髪と爪はキチンと箱に入れて岩穴にさっき置いてきたよ。体調自体は悪くなくて、ただまだ精神的にね、色々怯えていたけれど…。
なんとかなるといいね」
「そうですか。」
とりあえず例のおまじないが無事に出来た事をホッとした。
「明日、Kさんは親御さんと一緒に自宅に戻るらしいよ。一応退院の許可も出てるらしく、自宅に戻った方が良くなるかも知れないかららしい」
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