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「さ、とりあえず、お茶でも入れますからこちらはどうぞ」
宮司さんが丁寧に指先を揃えて向けたのは、社務所だった。
俺たちは揃って歩き出す。
少し狭い畳の部屋に通されて、そこでお茶を出してもらうと、Wさんが宮司さんに話しかけた。
「あの、早速なんですが、あの箱がこのようなトラブルにあった時に呪詛を引き受けて下さる方はいらっしゃらないのでしょうか?」
宮司さんは全員のお茶を出し終えると、その場に座った。
「えぇ、おります。私の家族です。家内は違うのですが、私の血をひいた子供はいずれあの箱を守ることになります」
「何故こんな事に……」
「お恥ずかしい限りです。あの箱を先祖代々守ってきたのに…実は箱が土砂崩れで箱が1つ無くなる少し前、先祖から受け継がれた別の箱が盗まれました。」
「箱!?」
全員が大声でそう言った。
しかし、この中で会長さんだけは知っていたようで無言で眉間にしわを寄せていた。
「そうです。その箱には、呪いの箱を作った女性たちの髪の毛と、あと呪いを少しでも弱める為の札が入っておりました。」
宮司さんは話を続ける。
「2人の男性がある日、呪いの箱の話を聞きに来たんです。この地区の呪いの話は大雑把に伝わってはいるが事細かには伝えてられていない。それ程酷かったから、子や孫にその話を余り詳細を語ろうとしなかった。
彼らはどうやって詳しく調べたのか分からなかったけれど、呪いの箱の他に、私達が管理する呪いを弱める箱の存在を知っていたんです」
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