どこにでもいる

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「……とりあえず、その呪いを弱める箱と同じ箱を作っているのですが。とにかく、時間がかかるのです。生半可な物を作ってもあの呪いの箱には意味がないですから、入念に作らないと。 もう一つの隠してある箱は…私の霊能力ではピンポイントで見つける事は難しくて、大体の範囲しか分かっていないのです」 宮司さんは両手の指を膝の上で組むと、ため息をついた。 俺もつい、ため息が漏れる。 「あの、裏山を見せて頂いて宜しいでしょうか? 私、もしかしたらお役に立てるかも知れません」 みんながWさんを見た。 そうだ。 Wさん、もしかしたら分かるかも知れないって言ってたんだ! 俺は勢いよく宮司さんを見ると、彼はWさんを見て大きく頷いた。 ========= 裏山。 ここは神社の裏にある。 鬱蒼とした木々が地面に濃い影を作り、昼間だというのにまるで日が落ちてきたかのように暗い。 もう少し、深い場所に入って行けば、誰か首を吊っている姿があっても、おかしくないような薄気味悪い所だった。 俺たちはゾロゾロと宮司さんに付いて、山の中に入った。 宮司さん曰く、隠す側もそんな山奥にまで隠す人はいないとは言っていたけれど、道なき道を歩いて行くのは山奥でなくても結構大変だ。 数分後、宮司さんは後ろにいる俺たちを振り返り、両手を広げた。 「ここ辺りで、箱のエネルギーを感じるのです。 この一体で、さっきも言った通り、ピンポイントで特定が出来ないのです」 そこの場所は、木が生えている所が少なく、大人の男の身長はあるような岩がゴロゴロとあちこちに転がっている少し開けたような場所だった。
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