リュウキ 

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リュウキ 

「みなさん。 これからの世界は、みなさんが創り上げていかねばなりません。 あの、富士山の噴火と、大地震から十年。 日本の人口はやっと7千万人を超えました。 ありのままの自分と他者を認め合い、 高めあい、そして、先人の分まで、大いに人生を楽しんでください」 ダンディな校長先生は、うっすらと涙を浮かべて (背がまだ小さいぼくは、列の先頭。先生の顔もよく見える。ぼくには、泣いてるように見えた) 深く、最敬礼でおじぎをした。ぼくたちも、頭を下げた。 (最敬礼でおじぎって、頭が頭痛みたいな言い方だよね?) ぼくの後ろで、ナナが、ふふ、と笑う。 ナナが、ぼくの耳に顔を寄せ、くすくすを忍ばせた転がる声で言った。 ふっと、鼻先を良い香りがただよう。 この香りさえ、他の人間には届いていないらしい。 ナナは、他の人には見えない。 (ねぇ、リュウキくん。 聞いてる?そういえば、 リュウキくん声低くなったね。声変わり?) 無論、ぼくは無視。 他の奴には見えてないナナに返事をすることが、 どんなに滑稽で奇怪に見えるかは、もう十分に知っている。 (あーあ。私も、大いに人生楽しめば良かったなー。ま、楽しかったけどね) ナナは、ふいっと姿を消して、声だけで俺に語りかけた。 (リュウキくんもさ、人生楽しみなよ! せっかく女の子みたいな綺麗な顔に生まれたんだから!) (うるさい。人が気にしていることを!まだ、これから背が伸びるんだよ)
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