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多分、だからぼくはマザコンなんだろう。
別に、それでいいと思ってる自分もいる。
「リュウキ、今日も部活?それとも慰霊祭行く?」
トキが眼鏡を人差し指で持ち上げながら聞いた。
トキの目線は、窓の外のどこかを見ていた。
「今日は、体操部休みなんだよ」
「なら、ちょっと付き合ってくんない?」
遠い目線のまま、トキは言った。
「トキ、慰霊祭行かないのか?」
「行かない」
トキのその口調は、妙にきっぱりとしたものだった。
ぼくは、おう、と返事をした。
ナナの、線香の良い香りが強くなった。
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