「不幸選手権」

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「交通事故で死んだ子ども一人の為にさ、チャリティコンサート開かないだろ? 病気で死んだ誰かの母ちゃんの為に、炊き出し来ないし、全国からメッセージ来ない。 でもさ、大きな災害で死んでも、 誰も知らない事故で死んでも、 残された家族の悲しさって、あるだろ。 悲しんでもらえない奴の悲しさだってあるだろ。 だから、苦手なんだ。慰霊祭」 トキの言ってることは、なんとなく分かるけど。 なんだか違うような気もして。 でも、トキのちょっとイラついているような気持ちは少し伝わったような気もした。 「俺、中二病だからさ」 トキは自虐的ににやりと笑った。 「こういう、ちょっと斜めなことも、言ったりするわけですよ。リュウキには」 「ありがとな」 「なんでありがとか分かんないけどな」 ぼくたちは、布引の滝についた。 ナナの香りが強く香った。 眼鏡をとって、まぶたをもみながら、トキが言った。 「リュウキと一緒にいるのって、俺の姉ちゃんか?」 ぼくは、胃の中に「どん!」と石が落ちてきたような衝撃を受けた。 「一緒って・・」 「俺には見えないけどさ。なんとなく。なんとなくな」
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