34人が本棚に入れています
本棚に追加
「多分・・違うと思う。
トキの姉さんって、桃子ちゃんだっけ?
6才で亡くなったんだよね?」
トキは、無言でまばたきをした。
「ぼくと一緒にいる人・・人っていうか、霊の人」
(光の人って言ってよ!)
とナナからつっこみが入り
「光の人は、ナナっていう、高校生くらいの女の人だよ。
同じ、あの災害で亡くなったって本人が言ってるから、
多分そうなんだろうけど」
「ふーん。なんだ。違うのか」
「違うと思う・・・それより、霊の人、いや光の人とか言っちゃって
変に思わないの?」
ぼくは、初めてナナとあった頃のことを思い出していた。
このお姉さん、優しいよ、というぼくに、父さんは悲しい目で「そうか」と言い
親戚のおばさんたちは「やっぱり、こんなに小さいのにお母さん亡くしてショックなのねぇ」と、勝手に分析をしていた。
ぼくは、それ以来、ナナのことは言っていない。
トキにさえ。
「俺、やっぱり死んじゃった母ちゃんとか
父ちゃんとか、姉ちゃんとか、身体が見え無くなっただけだとか
どっか違う場所で仕事してたり留学してるだけなのかなとか
そういうこと、思うんだよ」
いつも、クールでかっこいいトキの声が
なんだか弱っているように聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!