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シロクロ世界
今日は一段とよく冷える。息を吐くと、白い息がぼわわーと宙に浮いた。私よりも寒がりな彼が今の私の状態だったら、きっと凍死してしまうんじゃないか。そんな事を考えながらもう一度息を吐く。やっぱり、白い息が宙を舞った。
ここ数年は雪があまり降ってくれない。東北の方ともなればきっとこの時期は雪でいっぱいなんだろうけど、残念ながらここは関東な訳で。雪が降るとしても一月二月頃に、みぞれがほろほろと落ちてくるだけ。幼い頃は雪が好きで、幼馴染の彼と一緒にバケツに溜めて遊んでたっけ。雪だるまを作ればどっちが大きいか比べて、ソリで遊べば転げ落ちた方を宥めて、飴を持ってきて「カキ氷ー!」だなんて言って食べた事もあったっけ。
懐かしい記憶が妙にくすぐったくて、一人で微笑んでしまった。もう一度、息を吐く。白い息が、ぼわわーと宙に浮いた。寒い。早く来てはくれないだろうか。頭のはるか上にある時計の短い針は既に11を回っていて長い針は32をさしていた。。まだかまだかと待ってはいるのだが、彼はやはり来てくれない。待ち合わせ時間が11時。私はここで32分の遅刻を待っているのだ。
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