第4章 正直な話

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タクシーの中には、落ちてなかったぞ。この前みたいに、道に落ちてないか?」 急に間野さんは道にしゃがんで、鍵を探し始めた。 「先輩……」 「ないな。バッグの中、もう一度探してみろ。」 また怒られて、また嫌われる。 それでもいい。 間野さんに、これ以上。 有る鍵を、探させるわけにもいかない。 「先輩、ごめんなさい。」 「えっ?」 私は先輩の目の前で、バッグから鍵を出した。 「なーんだ。バッグの中にあったのか。よかったな。」 間野さんはほっとしながら、立ち上がった。 「……最初から、バッグの中にあったんです。」 「何?」 「すみません。」 私は間野さんに謝った。 「すみませんって、どういうつもりだよ。タクシー、降りちまったじゃないか。」 「だって!もっと先輩と、一緒にいたかったから!」 勢い余って、ついに言ってしまった。 「斎藤……」
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