第4章 正直な話

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第4章 正直な話

程なくなして、タクシーは私の部屋があるマンションの前に、停まった。 「タクシー代……」 私が、財布を取り出した時だ。 「いい。俺が出すから。」 間野さんは私の手ごと、バッグの中に、財布を押し込んだ。 一瞬だけど、間野さんの温もりが、私の手に伝わってきた。 「有り難うございます。」 私は小さい声で、そう言うのが精一杯で、急いでタクシーから降りた。 「今日は、ちゃんと鍵あるか?」 「は……」 もう少し、間野さんと一緒にいたい。 咄嗟に、カバンの中を探した。 「あれ?」 ない振りをしたのは、少しでも間野さんを、引き止めたいからだった。 「まったく。運転手さん、一旦清算して下さい。」 「えっ?」 まずい。 本当は鍵があったなんて、知られたら! 「あの!私自分で探しますから!」 「もう、清算終わったよ。」 間野さんは、タクシーを降りてしまった。
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