第三章 『落涙の後に』

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「幸さん、グラスの準備をしたいから、こっちに来て」  私は森川店長と人数分のグラスを布巾で磨いてゆく。 「挙式して、ご夫婦は正午にレストランに到着予定なの。そして、午後一時時から食事会スタート。結婚式かぁ、いいなぁ」  アラフォー独身の店長は、うっとりした表情を見せる。 「好きな人と結婚するなんて、幸せなんだろうね」 「……そうですね」 「幸さんは結婚願望とかある?」  私に離婚歴があることを知らない店長は、何気なく聞いてきたらしいが、私は曖昧に笑ってその場を逃げ切った。
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