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ポツリ呟くと、軽トラの助手席に乗って、徐々にアパートを離れる。
やっぱり涙を堪えられず、運転席の父にバレぬよう、窓外の景色に目をやった。バレていたとしても、きっと父は気づかぬフリをしてくれたはず。
馴染んできた街並みも、もう二度と見ないだろう。全部が最後に見る景色、ぼやぼやでハッキリ分からないや。
全く別の世界に、足を踏み入れなきゃ。ここにはもう、自分の居場所はない。
駿ちゃんの全部を、忘れた方が楽だ。
そんなの簡単にできっこないって分かっていたって、強く思わずにはいられなかった。
そして、思いの外苦しい日常が待っていた。
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