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しばらく走ってショッピングモールが視界に入った。俺はそこに入り、中にあるチェーン店で昼食を取った。
本当に俺なにしてんだろ?せっかく京都にいるのにショッピングモールの中にあるチェーン店とか……。あーうめぇ、安定の味がする。……ん?なんかしょっぱいな、俺の涙か……。
昼食を終えた俺は安いショップに入ってシャツとズボンを買って着替えた。ついでに百円均一で伊達メガネも買って装着。
ショッピングモールを出たのが16時前。夜行バスが来るまであと2時間。俺は食品を調達してからバスターミナルへ向かった。
目指すのは横浜。俺の従兄弟が住んでいる街。
2月15日、横浜には早朝に着いた。
バスから降りて軽く伸びをすると、ベンチに座ってぬるくなったお茶を飲みながらおにぎりを食べた。寒空の下で食べるおにぎりは味気ない。
俺は従兄弟の家の前に立つと、LINEで家の前にいることを伝えた。
玄関はすぐに開き、従兄弟の健人は俺を家に入れてくれた。
リビングに行くと上品な紅茶の香りがする。
「朝食はスコーンだけどいい?」
スコーンが何か分からないが頷いた。
座って待っているとスコーンと思われる丸っこいパンみたいなやつと、お手製と思われるイチゴジャムが運ばれてきた。
「おぉ、美味そう!」
「どうぞ食べて」
健人は紅茶を淹れながら言ってくれた。
スコーンとやらにジャムを塗りたくって食べるとあったかくて甘酸っぱくて、どこか安心できる味がした。
「気に入ってくれたようで何より」
ちらりと健人を見ると優雅に紅茶を啜っていた。
「あぁ、すげー美味い!」
「それは良かったんだけど……大丈夫?」
健人は心配そうに俺の顔をのぞき込む。
そういや会ったら詳細を話すって言ってたんだっけな……。
俺は紅茶を1口飲むと、去年のバレンタインに起きた惨劇から語り始めた。
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