その時まで

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たまに古い曲をかける音楽番組なんかがあると、手を叩いて歌った。 それが終わるとまた休憩。 夕食を早く済ませ、9時前にはベッドに就くという一日。 ある日、本を読みながら居眠りをしている年寄りに、窓越しから声を掛ける青年があった。 「お暇を持て余してるなら、少し来てみませんか?」 「何をする気かね?私は足腰が弱って遠くまで歩けないんじゃ」 「車を用意しています。それにそのうち足腰は嫌でも強くなりますよ」 「リハビリか。歩いたりするんだろ。それなら他の連中も毎日車で送迎してもらってやってるよ。わしはああいうのには興味ないんだ」 「リハビリじゃありません」 「それじゃ、こんな年寄りを連れ出して何を企んでるんじゃ」
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