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どんな女の子でも1度はお姫様を夢見る?
そんなの、ウソだ。
私は1度もお姫様になりたいと思ったことがない。
私には2つ歳上の姉がいる。
姉は美人で性格もよく誰からも愛されるタイプの人間だった。まさに、お姫様そのもの。一方妹の私は、いつもそんな姉と比べられてきた。だから、私は1度もお姫様を夢見ることなど出来なかったのだ────
6:30。いつもと同じ朝。目覚ましはうるさい程になる。はず…
何か違う。いや、かなり違う!
私の目の前に立っていたのは執事服を着たイケメンだった。
「姫様。おはようございます。」
えっとー、だれ!?という、ここどこ!?
お姫様に憧れたことのない私が姫様?どうやら、頭がおかしくなったようだ…
もう1度寝直そう!
「姫様!起床のお時間でございます。起きて下さい。」
どうやら、頭がおかしくなった理由ではないらしい。
『あなた誰!?私はなんでここにいるのよ!』
「おや?昨晩、ご説明したではないですか。もう、お忘れになったのですか?」
『昨晩?なんのこと?』
「はぁ、わたくしはゼロ・ルウシェでございます。姫様がここに居られるのは、昨晩、あなたがこの国の姫に選ばれたからです。」
『私はこの国の姫にはならないわよ!私を家に帰して。家族も心配するの』
「困ります。あなたは選ばれてしまったのです。もう、戻れません。この国には、あなたが必要なのです。」
『うそ!帰れないなんて、うそよ!』
私は、叫びながら冷たい大理石の床を走り、部屋の大きな窓を開いた。しかし、そとには大勢の人。見慣れない町並み。自分でも、帰れないことを理解してしまった。
『どうしたら、いいのよ…』
ポロポロと流れる涙をルウシェはそっとハンカチで拭きながら私に言った。
「あなたはこの国の姫にふさわしい。誰よりも。だから選ばれたのです。さぁ、皆が待っておられます。演説の準備をしましょう。あなたには私がついてます。何があっても御守り致します。だから、姫様、もう泣かないで下さい。」
その時、なんだか不思議と涙は止まった。
『分かったわ。姫でもなんでもやってやるわ!でも、その代わり条件があるの』
「条件ですか?」
『そうよ!姫をやる代わりに、あなたは私が家に帰れる方法を探して!いい?』
「承知致しました。前例はありませんが、全力で探しましょう。」
そうして、私はお姫様になった。
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