序章

3/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
21世紀初頭。 2045年には、コンピューターが人類を超えると予言された。 時期に僅かな誤差はあるものの、確かにその予言は当たった。 2044年、人の知能を遥かに超えるAIが日本に完成した。 それは日本神話からイザナギと名付けられた。 人々の反対の中、政府はイザナギによる国のコントロールを試験的に始める。 主にインフラの管理をイザナギはしていたのだが……。 それから、18年。 イザナギは改良を重ねながら、問題も無く、今や社会の一部のように運営されていた。 そんな中、奇病が一部の子供達に流行りだす。 子供達の年齢は皆12歳。 身体から小さな金属片が出て来るのだ。 それは最初、テレビ番組などで宇宙人の仕業などと、笑いのネタのように持て囃されたが、じきにその数が100を超え頃には誰も笑えなくなった。 最初はマスコミから調査が始まったのだが、謎が謎しか呼ばず、社会不安ばかり掻き立てられた。 ついには原因究明に国を挙げ尽力しだす。 そこで分かったのはーー。 子供達には共通点があった。 ある特殊な精子バンクから、不妊治療の夫婦の元に提供された精子を使い、人工授精で生まれた子供達だった。 その精子バンクは、知能体力美貌創造力に優れた、所謂天才の精子を集めた精子バンクであった。それはまた別の問題を浮き彫りにさせる。所謂遺伝子格差問題である。 一部の富裕層向けに作られた、極秘の精子バンクであったがその衝撃は小さく無かった。遺伝子格差を生みかねない恐れがあったからだ。 また、その行為は古のナチスの優勢政策を連想させ、人々の嫌悪感を煽った。 調査は進み。 導き出された原因は、イザナギによる遺伝子改良だった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!