序章 ロボットの暴走

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光輝とリズはロボット達の集団に飛び込んだ。だが、戦いはしない。 「おい!お前らの宣戦布告は受け取った。だが少しだけ待ってくれ。言っておくが今暴れたら私が一瞬で氷漬けに出来るのだからな。お前らだって兵力が欲しいはずだ。その戦争とやらは1ヶ月後に始める、でいいな。」 冷たく凍りつくような、反論する者を決して許さない声で発したそれは、命令に近かった。 もちろん、彼女が一瞬でこの数を氷漬けに出来るはずはなかった。だが、感情が発現したばかりで正常な思考ができないロボットたちは、 「分かった。1ヶ月後。戦場は、ここ、東京だ。それまでは俺たちでビルを乗っ取って作戦会議をさせてもらうぞ。」 「そうか。なら、レインボービルを使え。」 レインボービルはなかなかでかいビル。リズの父親が買い取ったビルだ。 「了解した。1ヶ月以上は待たないからな。」 リズの尽力により、この場は丸く収まった。 だが、人間の力で強化されたロボットは手ごわい。1ヶ月で一体どれだけの兵力を稼げるのか。 ―自分は、一体なんなんだ? ―自分が、怖い。 生活補助型ロボット111番、通称『ミイチ』が最初に覚えた感情は、『恐怖』だった。 彼の思考回路が、くしゃくしゃに絡む。 ―何で、こいつらは人間に怒ってるんだ? ―何で、こいつらはこれを受け入れてるんだ? ―怖い、怖い、怖い 助けて... ミイチはもうこの感覚を終わらせたかった。ミイチは死のうとして、そばにあったナイフを拾った。 それを止めたのは、彼の主人の老女。 「ダメだよ、自分を殺してしまったら。」 暖かい声。懐かしい声。 この声を、守りたい。 ミイチは、恐怖以外の感情、感謝、喜び、安堵、そして忠誠を感じた。 この時のミイチは、ほぼ人間の感情の全てが理解出来ていた。 この人を、守りたい―
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