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今日は、久しぶりに友達に会ってきた。
昔を惜しみながら、酒を飲んで終わった。
こんな日も良いかと思っていた。
ただ少し物足りなかったのは、会いたい人がいなかったからだろう。あちらはきっと忘れているだろうが。
僕は、忘れない。
忘れられない。
他の誰もが忘れてしまっても…。少しクサイかなって「ふふっ」っと笑った。白くなった息が、夜空にのぼって消えていくのを眺めていた。
その夜空に少し違和感があった。動いているのだ。ゆらゆらと。流れ星でも、飛行機でもない。
ん、あれ…は。
いや、そんな筈がない。だって空だ。
信じられずにそのまま眺め続けていると、ゆっくりと近づいてきた。
「何見てやがる。」
そう話しかけてきたのは、ほっそりとした少年だった。暗い夜に、白い肌が良く映えた。
美少年だった。見惚れるほどに。
「おい。聞いてるのか?」
先程より強い口調だった。それでも何も答えられなかったのは…。
その少年に、『羽』が生えていたからだ。
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