1 再会

5/7
662人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
と、 「大神が…マトモなことを言っている。キモチ悪い」 大きく目を見開き、青い顔で呟いている。 どういう意味だ。 ムッとする俺の横で、彼はフッと表情を和らげた。 「まあ…ありがとな。実のところ、ちょっと自信がなかったんだ。 それによ、それだけじゃないんだよ。ほら、よく聞くじゃないか。結婚したら彼女が変わったって話さ」 熊野はブルッと身体を震わせ、俺の方に身を寄せた。 「ほら、2年前結婚したオザキさ。一昨日会うことがあったんだが… こないだ飲んでちょっと遅く帰ったら、奥さんに閉め出されて、車の中で震えながら寝たってよ。 あの清楚な彼女がそんな風になったらと思うと俺、やりきれねえや、なあ」 「……熊野よぉ」 俺は、首を横に振りながら奴の肩を抱え込んだ。 「バカなことを。結婚したらな……スッゲエんだぞ?」 「な、何がだよ」 「まあ飲め」 ……… 酒の回った男同士。会話には理性の欠片さえ残っていない。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!