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熊野がポツリと呟いたトコロで、他にも、招待客が次々と列をなしているのに気づく。
新郎新婦がそちらの対応に追われ始めたので、秋人達は席に戻った。
それからも何かと慌ただしく、そのまま短い新婚旅行へ向かう2人とは、ゆっくりと話す時間のないまま、セレモニーは終了し___
終わり際、その “ありきたりな一言” を、秋人はやっと告げることができた。
「熊野、幸せにな」
「ったりめーだ」
秋人が肩を軽く叩けば、倍の力で背中を“バン”と叩き返す熊野。
その、少し窮屈そうなタキシードの後ろ姿を、秋人はどこか感傷的な気分で見送った。
…痛ってえな。
ま、別に、奴とはこれきりってわけじゃない。
これからも、仕事でちょくちょくやり合うことにはなるんだろうけどな……
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