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4 二人で散歩
そんな執念の手が我が身に伸びつつあることなど知るよしもなく。
熊野と飲んだ日から数え、2ヶ月ほどがたった日のことだった。
いつものように仕事から帰った俺は、慄然とした。
「な…!」
玄関先で、奥さんが両手を突いて突っ伏していたからだ。
「うう…」
「ど、どうした燈子!」
彼は慌てて駆け寄った。
「ハラがヤバイのか?ガキが出そうなのか?
あああ…どうしよう、早く病院に」
ウロウロと狼狽える俺のコートの裾を引っ張り、燈子が足下から弱々しい声を上げた。
「違いますよぉ~、秋人サン」
「え?」
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