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5 女王蜂と餓狼
翌日。
愛水は、いよいよ行動に移ることにした。
とはいえ、腐っても役員の大神と、総務第2課 施設管理チームの自分とでは、あまりにも接点がなさすぎる。
8Fの役員フロアと2階奥の総務課では、偶然すれ違う機会もなく、むろん、合同の飲み会などあるわけもない。
どうしたものか…
頭を抱えていたところに、タイミングよく内線電話がかかってきた。
『あの~、蛍光灯が切れたんだけど』
大神常務の番号だ!
俄に色めき立つ後輩女子どもを押し退けて、いち早く受話器をゲットした愛水は、
「はあい、今すぐまいりまぁす♪」
猫なで声で返事した。
セクシャルな私服に作業服を羽織った姿で、蛍光灯を右小脇に、折り畳み梯子を左肩に、ドアを2回ノックする。
「すみませ~ん、蛍光灯の取り替えに参りましたあ」
中に入れば、幸い彼は一人きりだ。
「ああ。頼むよそこ」
座ったまま、ちょいと斜め右上を示唆すると、愛水の方を見もせずに、彼は再び執務机に向かう。
愛水はわざと彼の目に入りやすい位置に移動して、折り畳み梯子を設置した。
さあ、とくと御覧なさい!私の…
「ええいっ」
可愛らしい掛け声にブリッコポーズ、マイクロミニ・タイトで、これみよがしに美脚を振り上げる愛水。
「………」
しかし、彼は無反応だ。
どうやら、今机に拡げている書類に集中しているらしい。
ぶ…侮辱だわ。
この私の、セクシーショットを見過ごすつもりなの?
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