未確認フライングチョコ

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毎年下駄箱がいっぱいで入れられないため、 誰かがフライングで入れてきたのだろうか? そうだとしたら、非常に憎々しい話だ。 しかし、チョコ自体に罪はない。 それどころか、詰め込まれたチョコと違い、 一粒だけとなるのなんだかとっても愛おしい。 未だに成長期を続ける俺の脳は、 目の前の糖分を摂取しろという信号を腹の虫に送り始めた。 あとは自分の靴についたチョコをどう思うかだけ。 見つけてから3秒以内に手に取ったんだ、 これもある種の3秒ルールだ、と自分に言い聞かせ 「食べちゃいますよ―」 とつぶやくと、包みすらない一粒チョコを軽く手で払い、 運動で消費したカロリーを補うべく口内へ放り込んだ。 ーーうまい。 まだ前日だが、初めて食べるバレンタインチョコ。 平時なら甘すぎるかもしれないほどの甘みだが、 疲労した体の五臓六腑に染み渡るようだった。
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