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死期が近いある春の日、
七五三のようなにぎやかな着物に身を包んだ8歳の野々花に出会った。
「黒桜さん。夏鈴なら大丈夫よ」
そう言って野々花は俺の手を取った。
夏鈴の子供、双子のひ孫達はやがて
俺の両親と同じように結ばれて子供を産むことになるだろう。
それを見届けてから死ぬつもりだったのに、
予想よりもずっと早く迎えが来てしまった。
いや、待ち焦がれていた運命の相手との再会はやっぱり何よりも幸せなことだ。
88歳になった俺は、
野々香と出会った16歳の俺に戻って二人でまた終の棲家に住み着いた。
そこは邪魔する者のいない、俺達二人だけの世界。
美鈴は夏希と再会し、
彼らの天国で幸せに暮らしているようだ。
やがて来る嵐を乗り越えるため、俺はここから美鈴と共に、
引き続き夏鈴達家族を見守り、支えてやろうと思う。
おわり
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