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夜明け前の暗さの中では、
どんなに夜目を効かせようとも、良く見えない。
昨夜から一人お堂に閉じ込められた俺は、
籠の中の鳥のように何かの化け物の贄となる運命だと聞かされていても、
ここから逃げ出そうとは欠片も思わない。
声を出すな
音を出すな
眠るな
死を恐れるな
そんな勝手なルールを強いられ、
食事も排泄も奪われていても尚、
俺はここに居る。
天井と壁の隙間から見える月だけが俺を見ている。
一晩、ここで過ごして気が触れることがなければ
解放してやっても良いとあいつは言った。
それが詭弁であることぐらいは気付いている。
誰も、俺が無事に朝を迎えることなどないと信じて疑っていない。
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