オタクのバレンタイン

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オタクのバレンタイン

 今日は年に一度のバレンタインデー。クラスのクズどもがそわそわして、チョコレートをもらえる気になっている。俺はそれが気に入らない。  だいたい、特別な日に、特別なチョコレートをもらえるのは、特別なイケメンだけだ。サッカー部のエースでもバスケットボール部のエースでもないのに、バレンタインチョコレートがもらえると思っているブサ面どもの思い上がりが、ただただ腹立たしかった。  俺は終業のチャイムが鳴ると真っ直ぐ教室をで学校を後にした。俺は自他ともに認めるオタクだ。休み時間に美少女ラノベを読むような男なのだ。バレンタインデーになんか始めから期待をしていないし、絶対に裏切ることを知らない二次元美少女を愛し続けると、高校入学の時、固く心に誓ったのだ。 「ち、取り合えずイラつくぜ……」  俺はスマホを手に取ると、嫌いなアニメ演出家のツイッターにディスりを書き込んだ。 『なんでお前に仕事があるんだよ。遊んでる暇があったら、とっとと魔女札の二期作れよ。オタ舐めんなよ。一回、タヒね。このカス!』     
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