オタクのバレンタイン

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 しかしだ。これは誰から送られてきたチョコレートなのだろう。包装紙が小さいせいかどこにも送り主の名前が書いていない。  クラスメイトの嫌がらせか。中坊が良くやる浮かれた同級生を見て馬鹿にする展開かもしれない。……いやそれは考え過ぎだ。俺を笑いたいんだったら郵送ではなく下駄箱にチョコを入れればいいだけだ。  と、言うことは母親の仕業か。……それもないよな。だってこれだけ小さいチョコレートだ。そこまで高価そうでもない。母親が渡すなら手渡しで十分なはずだ。  じゃぁ誰が俺にチョコを送ったんだ。担任の南川先生だろうか。俺、クラスの奴らに押し付けられて文化祭の実行委員をやったもんな。これはご褒美だろうか。先生は白いブラウスが似合うグラマラスな美人だもんな。教師と生徒の禁断の愛か……。ゴクン、生唾を飲まずにはいられない。  いやもしかしたら、その時、一緒に仕事をやった道家かもしれない。ちょっと不良っぽい奴だけど、道家も美人だもんな。荷物持ちとか積極的にやってやったし、優しい男だと思われたのかもしれない。  いや待て待て、そんなこと言いだしたら、実行委員の仕事は他のクラスの代表も居たし、先輩も後輩も居たんだよな。もしかしたら一年生の小柄で可愛い、中平かもしれない。     
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