オタクのバレンタイン

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 文化祭の打ち合わせの時、多目的ホールで席を譲ってやったら、笑顔で、 「ありがとうございます」  って言われたもんな……。  俺はチョコレートのラッピングをどのタイミングで開けるべきか真剣に悩んだ。送り主が誰かわからないなんて、相手に失礼じゃないか? 以心伝心が出来ない人間は、恋愛なんてするべきじゃないだろ? 「いや、難しく考えるのはやめよう。贈り物はありがたく食べるのがマナーだ」  俺は誘惑に負けてしまった。俺は俺に好意を寄せてくれる女の子の名前を知りたかった。  俺は迷いを捨てると優しく包装紙を外した。予想通りなかからメッセージカードが出てきた。  俺は内容を目で追うとメッセージカードをそっとブレザーの胸ポケットにしまった。そのままキッチンへ向かい、冷蔵庫のなかから牛乳を取り出すと、マグカップにそそぎレンジに入れた。俺はホットミルクが出来上がるまでの時間を使って、もう一度、メッセージカードを読み直してみた。 『ご応募ありがとう御座います。これかも応援よろしくお願いします。私はファンの皆さんが大好きです。ハッピーバレンタイン。ウィチーズガールバトル、白の魔法使い、ミハル』     
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