独りよがりなミラクル慕情

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 タカトシとの出会いは、大学の時まで(さかのぼ)る。  2つ先輩で、サークルが一緒だった彼はとても光っていた。知的で背も高く、明るいサラサラヘヤーがとても爽やかだった。  サークル内では、抜きん出て目立つ存在だった。  彼がサークル長になった年、私は不意に呼び出されて告白された。  それはシャイな彼にとって、よほどの勇気がいったろうし、何よりその姿が素敵だった。その真摯な目に、心を揺さぶられたのも事実だ。  でも本当のところ、『好き』の度合いは、私の方が大きかったかもしれない。  誰にも言ってはないが、それとなく近づいて、積極的にアプローチをし続けたのは私の方だった。  なのに、女仲間に羨ましがられ、私を取られたと悔しがる男子を目の当たりにすることで、自分に妙なプライドが生まれてしまった。ある意味、いい気になっていたんだと思う。その邪魔なプライドが、タカトシに対して、素直になる事を許さなかった。  それから交際が始まって、もう10年にもなるが、そのスタンスは変わってない。  彼の方から告白したんだから、デートに誘ってくれて当然、美味しい所に連れて行ってくれて当然、プレゼントを貰って当然といった具合に。     
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