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今年も来てしまうのか…1年で私の最も苦手、いや嫌いと言ってしまってもいい日。
デパートのお菓子売り場でバイトをしている私、中野観月はバレンタインデーが本当に嫌いだ。
彼氏がいないからとかではない。いないけど。好きな人さえいない非リア充だけど。そんなことは関係ない。
大学生になり、バイトをはじめようと思ったときに昔からお母さんがよく買ってきたお菓子売り場でアルバイト募集の貼り紙を見つけたことがきっかけだ。
すぐに電話をして、面接の結果はオッケーだった。ここのお菓子が好きだったことと、思ったより接客業が自分に向いていることもあって結構楽しく働いている。
ただ、バレンタインデーを除いては。
バレンタインデー前々日くらいからとんでもないお客さんの量で絶対バイトは休めない。当日なんてもってのほかだ。
すなわち、この2年間私のバレンタインデーはこのお菓子売り場に捧げてきた。そして3年目も捧げルことが確定している。
バレンタインデーのお菓子売り場のフロアは本当に戦争だ。女の人で埋め尽くされている。この光景は慣れない。まじで怖い。売っても売ってもお客さんが絶えないし肉体労働してる感がすごい。1年目は疲れすぎて帰ってからの記憶がない。帰って即ベッドで布団も掛けずに寝ていたと次の日お母さんが言っていた。
そう考えたら去年は帰ってから友達にチョコ作ったし体力ついたよね…
「観月ちゃんそろそろ上がっていいよー。」
店長から声をかけられる。もうそんな時間か。
今日は11日だからそろそろ本格的に忙しくなる。私も14日までは全部シフトが入っている。
帰る準備をしようとしたとき、おそらくサラリーマンだと思われる一人の男性が、向かいのお店のチョコレートを熱心に見ていた。
男の人がこの時期にチョコを見てるのも珍しいなぁ…奥さんの誕生日とかかな。
ちょっと気になったけど今日は上がりだから仕方ない。その日はあまり気にすることなく帰った。
明日からバレンタインデーが変わるなんてそのときは思いもしなかった。
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