プロローグ

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原因は、後に言われる『影の初撃』である。 その日、住んでいた村が【影】の者達によって襲われたのだ。 爆発音とともに始まったそれは、無差別に村人を襲う。 逃げ惑う人々、泣きじゃくる子供、村人を誘導する者、悲鳴をあげる者、何とか攻撃を防ごうとする者、絶望し立ち尽くす者。 様々な人間がこの「初撃」によって命を落としていった。 そんな中、結ばれた二人も子供を抱えて走る。 走る。走る。走る。 次の瞬間、ひとつの爆撃魔法によって、二人ははぐれてしまった。 その時、母の腕の中には妹が、父の腕の中には兄が抱えられていた。 二人は後で大樹の丘で落ち合おうと約束し、その場を立ち去ったが、その約束は叶うことはなかった。 お互い、別の【影】兵士によって殺されたのである。 母はとある木の影に娘を隠し、守ろうとして殺され、父は【影】の裏切り者として見つかり、その場で射殺された。 だが幸いにも、子供は殺されなかったようだ。 父が抱えていた兄は 「父の遺伝子をそのまま受け継いでいるため利用出来るであろう」 ということで【影】側に引き取られ、 母が隠した妹は、後から来た【光】側の兵士によって見つかり保護された。 ……この事件から早くも18年が経とうとしている。 この頃、またも運命の歯車が忙しなく廻る。 これから語られるのは、奇跡的に生き残った『生き別れの兄妹』の物語である。
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