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「ふーむ」
別室で聴取をモニターしていた隊長とニクラウスは同時に唸った。
「ミカエル・クルス――」
腕を組んだ隊長は低い声音で依頼人の名をつぶやき、
「十九歳にしちゃ老けてんな」
「……関係なくないスか」
呆れ顔のニクラウスは使用していないモニターに映った自分を見ながら髪を撫でつけ、流し目をくれた。
自他共に認める――むしろひたすら自分推しのハンサムである彼は、いついかなる時もイケメンでいないと気が済まないのだ。
たとえそこが、上司とふたりきりのモニタールームだったとしても。
「しかし、そこまでしつこく狙われる理由があるようには見えませんがね。恨みを買うような人間にも見えないし」
「同感だ」
依頼人は三日間、その得体の知れないものから襲撃を受け続けていたという。
人間が操作、またはプログラムしたものだとしても尋常ではなく、執拗の一言に尽きる。
「で、請けるんですか? 隊長」
「……」
隊長の瞳は、モニターの中で考えあぐねるニコルを見つめていた。
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