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02:02a.m.
街の喧騒も届かない、見ず知らずの閑静な場所だった。
できるだけ街灯や住宅の照明を避けながら、路上駐車のシボレー、そしてトヨタのピックアップの陰に身をひそめて様子を窺ううちに、体を車に預けてしまう。
途端に大音量の警報が鳴り響き、ミカエルは飛び上がった。
「……っ!!」
車の防犯装置を作動させてしまったことを激しく後悔すると同時に走り出す。
おののいて振り返る街路樹ごしの夜の空に、ぽつりと輝く青白い光が見えた。
……しまった、見つかる……!
重く怠い体を死にものぐるいで動かして逃げ込んだのが住宅地だったのは、幸か、不幸か。
間もなくその青白い光が警報を発し続ける車の上空にさしかかり、
『……』
躊躇なくまばゆい光線を放たれたピックアップが炎を吹き上げて飛散する頃には、ミカエルは遠く走り去っていた。
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