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警察へは行けない。
植え込みを飛び越え、公園の中を走り抜けながら、ミカエルは考えをめぐらせていた。
どうせどこかの警察署へ駆け込んだところで相手にもされないはずだ、そんなのはリスクでしかない。
……でもあれから逃げ回るのはもうたくさんだし、わけがわからないままやられるわけにもいかない。
しばらく、安心して身を隠せるどこかへ――
池のほとりで足を止め、大きな木の幹によろよろと抱きつき、しゃがみこむ。
ここなら少しの間でも身を隠せるはずだと安堵した時、
「……?」
ふと、路面を噛むタイヤの音が近づいてくるのに気がついた。前照灯に照らされぬよう、近くの植え込みに身を寄せ、体を低くする。
やがて徐行運転でやって来た四輪駆動車が横切ってゆき――ミカエルの目が車体に釘づけになる。
『あなたの町、あなたの暮らしに安心を――RC社』
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