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そして青年は、ニコルのあとに続いて部屋の隅に控えている若い男が気になるようだった。目の色が左右異なる、長い黒髪を無造作に束ねた凛々しく美しい男だ。
視線に気づいた男は清々しい微笑を浮かべてみせたが、青年は気まずそうにしている。
ああ、と声を発したニコルは「同じ隊のジューダス=マケヴォイです」と男の軽い紹介を済ませ、
「先にもうかがいましたが、お名前はミカエル・クルスさまで間違いごさいませんか」
「……はい」
「ではクルスさま、ご用件をお聞かせください」
優しいグリーンの目で青年を見つめ、
「――何があったんですか?」
単刀直入に訊くしかないとニコルが判断したのには理由があった。
この青年に、当たり障りのない会話から始められる余裕は微塵も感じられない。
ニコル、そして応接に立ち会うジューダスの前で、依頼人は震える唇を小さく動かし、
「窓のない部屋、ありませんか」
「え?」
「ひょっとしたら、ここも危ない」
面食らうニコルに向かって前のめりになった青年は、
「ぼくを助けてください、やつ、――やつらから」
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