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つるぎ
布に包まれたそれは、ズシリと重く硬質だった。
「御魂、これは?」
「あけてみて下さい。それは貴方のものです。」
恐る恐る布を取り払い絶句した。
一本の剣が布の中から姿を現したからだ。
塚は革製の布が丁寧に巻き付けられ、柄の部分には見たことのない上質な宝石。
鞘には美しい葛模様が描かれていた。
「御魂!こんな高価そうなものどうしたんだ!?どこで手に入れた!」
俺は驚きとわずかな恐怖で叫んでいた。
御魂はそんな俺を静かなまなざしで見つめながら淡々と続けた
「この剣は貴方のものです。いずれ、わかります。
私からはこれについて詳細に述べる権限がありません。
泉自身で見つけるしかないのです。真実はいずれ、明らかになります。
それまで決して、その剣を離さないでください。」
全く意味が分からない。
いつも明朗快活な答えを返してくれる人口知能は
俺の記憶するなかでは初めてあやふやな答えをしてきた。
「おい、これすごいな。
これだけの品、質入れしたらこの先食うに困らないいじゃなないか?」
功は珍しく興奮した様子で剣を食い入るように見つめていた。
「お前に剣なんていらないじゃないか。
戦争なんて日ノ本が鎖国してからおこってないし、売っちまえよ。」
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