第1章

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「貴方、はい此れ」 「ありがとう」 夫は、バレンタインのチョコレートを満面の笑顔で受け取ってくれた。 「いただきます」 バキンバリバリボリバキンボリボリ 私と一緒になるまで、一度も本命どころか義理チョコさえ貰ったことが無かった夫は、私が渡すチョコレートを毎年笑顔で受け取ってくれる。 でもそれが私には心苦しい。 夫に渡したチョコレートは、板チョコなんかでは無くチョコレートケーキ。 どんなに柔らかいケーキでも、雪女の私が手に持った時点で硬く凍りつく。 「バレンタインなんて大嫌いだ」
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