2 賽は投げられた

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そこには、二体の巨大な『何か』がいた。 所々角張っており、一見するとロボットにも見えるが、床に這いつくばって有害物質を喰らう姿は、ロボットと言うよりまるで獣のようだ。 何よりしなやかに伸びた四肢が、それを増長させた。 『何か』は次々と有害物質をその体の中に収めていった。 目は鋭く光っている。 ユイはただ呆然と立ち尽くしていた。 いや、動けなかったのだ。 唯一、(まなこ)だけが、それが何であるか把握しようと必死に動いていた。 「なんだ、一匹いないな」 ふいに後ろから男の声が聞こえてきた。 緊張の糸が切れたユイは、膝から崩れ落ちた。 「あれは……なんですか……」 ほとんど吐息のような、掠れた声で訊ねた。 「恐ろしいか」 男は試すような口ぶりだった。 その目は酷く冷たい色をしている。 『こわい』という一言で片付けるのは、間違っているような気がする── ユイはなぜかそう思い、男の問いに答えることができなかった。
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