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そこには、二体の巨大な『何か』がいた。
所々角張っており、一見するとロボットにも見えるが、床に這いつくばって有害物質を喰らう姿は、ロボットと言うよりまるで獣のようだ。
何よりしなやかに伸びた四肢が、それを増長させた。
『何か』は次々と有害物質をその体の中に収めていった。
目は鋭く光っている。
ユイはただ呆然と立ち尽くしていた。
いや、動けなかったのだ。
唯一、眼だけが、それが何であるか把握しようと必死に動いていた。
「なんだ、一匹いないな」
ふいに後ろから男の声が聞こえてきた。
緊張の糸が切れたユイは、膝から崩れ落ちた。
「あれは……なんですか……」
ほとんど吐息のような、掠れた声で訊ねた。
「恐ろしいか」
男は試すような口ぶりだった。
その目は酷く冷たい色をしている。
『こわい』という一言で片付けるのは、間違っているような気がする──
ユイはなぜかそう思い、男の問いに答えることができなかった。
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