第零章

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「えっっっ?」 「久しぶりだね? 元気にしてたかい? あっ死んぢゃったから元気も何もないか? にしても君も不運だね? 歩道に大型トラックが突っ込んで来るなんてさぁ」 声が頭の中に響いた途端 一気に睡魔が吹き飛んだ。 目の前にいる中性的な顔立ちの奴は一人ベラベラと喋りたくっている 何故かはわからないが無性に腹が立ったので無言で蹴りを顔にお見舞いした。 「ぐっっっ」 「ごめん 何か腹たったからつい」 「君は相変わらず口より先に手が出るなぁ」 「記憶違いでなければ初対面のはずですけど?」 「今回も覚えてないんだ? まぁいいや そこはさして重要じゃない」 「いやいや 私にとっては重要なんですけど? 此処は何処? 何で大型トラックが突っ込んで来たこと知ってるの? それにさっきから気になる事ばかり言うし?」 「簡単に言えば此処は神様が住む場所で事故の事を知ってるのは見てたから まぁこれでも助けようとはしたんだけどね? 君とは神話の時代からの付き合いさ まぁ記憶に鍵を掛けられてるから覚えてないみたい だけど」 「とりあえず死んだって事でいいのかしら?」 「まぁそんなとこだね 本当はダメなんだよ? 君みたいな子を此処に連れて来るのはさぁ だけどどうしても君には幸せってものを知って欲しくてさ 要は俺の我儘だね」 「これからどうなるの?」 「俺の知り合いの世界に転生してもらう 君にはチートっていう贈り物と男っていうペナルティーをあげる」 「チートは別にいらないんだけど? 後ペナルティーって何?」 「俺の事を思い出してくれないペナルティーだよ まぁまた会えるからとりあえず行ってらっしゃい」 そいつは笑顔で手を振ると足下から崩れ落ちていく感覚がした。 床が無くなったのだ。 声を上げる暇もなく深い穴の中を落ちて行く。 最後に見たあいつの顔は笑っているのに悲しそうだった。
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